利用施設数6,000を突破。高齢者・障がい者施設の運営の味方「ヨシケイキッチン」の取り組み
- 商品開発
- 新規事業
近年、日本では高齢化社会が急速に進み、高齢者施設の人手不足が深刻化しています。
こうした日本が抱える社会課題を「食」の領域から解決しようと、2013年に立ち上がったプロジェクトが「ヨシケイキッチン」です。高齢者・障がい者施設に向けた食事提供サービスを、各FCを通じて全国展開しています。
「スタート直後は注文数があまりに少なく、取引先から食材の提供を断られてしまうこともあった」と苦笑いするYMさん。今では利用施設数は6,000を超え、順調に業績を伸ばしています。
これまでの歩みを振り返り、立ち上げ時の苦労などについて話を聞きました。
PROFILE
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YMさん
キッチン事業部
2019年11月ヨシケイ開発に中途入社。総合戦略室からFC支援部を経て、キッチン事業部へ異動。プロジェクトの中心メンバーとして尽力。
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MNさん
キッチン事業部
2019年4月ヨシケイ開発に新卒入社。メニュー開発部メニュー開発課に配属され、開発チームにてメニュー開発に従事する。2023年4月にキッチン事業部へ異動し、現在は「手作りおかず」のメニュー開発を担当。
目次
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第2の柱となる新たなBtoBビジネスを模索
はじめに「ヨシケイキッチン」が立ち上がった背景を教えてください。
YMさん:
ヨシケイはこれまで、全国50万世帯に夕食宅配サービスを展開してきましたが、企業のさらなる成長のために、既存事業に依存するリスクを回避し、第2の柱となるBtoBビジネスの新たな可能性を模索していました。
これまで培ってきたBtoC事業のノウハウを生かしつつ、どのように新たな市場ニーズに応えられるかをチームメンバーで徹底的に検討。その中で注目したのが、急速に増加する高齢者施設です。高齢者施設では、入居者の増加とともに人材不足が深刻化しており、食事提供業務が大きな負担となっていました。
こうした社会的課題に対し、私たちは早急な解決策が求められていると認識。食事提供のクオリティを維持しつつ、効率的に業務を進められるサービスを開発できると確信しました。MNさん:
その後、当サービスが障がい者施設の需要も取り込めたことから、障がい者施設への利用拡大を促進させていきました。
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問い合わせ対応から物流まですべてを管理
「ヨシケイキッチン」の取り組みについて、具体的にどんな活動をしていますか?
YMさん:
高齢者、障がい者施設に対して栄養バランスのとれたメニューを食材とともにお届けし、献立作成や仕入れの手間を省き、調理スタッフの負担を軽減するお手伝いをさせていただいています。具体的な業務内容は主に7つあります。
①メニュー開発
②商品開発
③販促施策実施
④全国各地への展示会出展における認知拡大
⑤施設、FCへの利便性向上の提供
⑥物流管理
⑦複数施設運営の本部に対する営業活動
問い合わせの対応からメニュー開発、営業活動や物流管理まで、すべてをヨシケイキッチン事業部で行っています。メニュー開発とは、具体的にどのようなメニューですか?
MNさん:
施設さまのニーズに合わせて用意した5コース「手作りおかず」「簡単おかず」「超簡単おかず」「ボリューム手作りおかず」「超簡単プラス」の朝・昼・夕のメニューを開発しています。(ボリューム手作りおかず、超簡単プラスは朝食の取り扱いはございません。)
栄養バランスが良く、鮮度も味も兼ね備えたオリジナルメニューです。3 人用から利用が可能で、小規模な施設でも無駄が出ません。 -
要望に応えることで、FCや施設との信頼関係を構築
「ヨシケイキッチン」の拡大・推進にあたり、大切にしていることは何ですか?
YMさん:
ご利用施設さまとFCの要望や期待に応え、信頼を得ることです。私たち本部は、施設の方と直接対話する機会が少ないですが、FCを通してご要望を聞き、お応えできるように全力を尽くしています。
MNさん:
私もYMと同様、FCや施設さまとの信頼関係を大切にしています。施設さまのニーズに応えるメニューを開発することで、よりよい関係性を築いていけると考えています。
売れ行きの好調なメニューを把握し、なぜ人気なのかを分析し、新たなメニューを開発しています。調理担当の方の負担過多にならないように、調理工程にも工夫をしています。YMさん:
やはり、勘や経験に頼るのではなく、事実をもとに施設さまのニーズを深堀りすることが重要だと感じます。現状、電話やファクスで注文される施設さまが多いですが、本部としては注文実績をマーケティングに活用していきたいので、 データ化できるシステムの構築を早急に進めていきたいですね。
MNさん:
私の勝手な思い込みで、高齢の方は和食が好きで、洋食や中華は苦手というイメージがあったのですが、実際はカレーやシチュー、中華の炒め物も人気があるので驚きました。
YMさん:
そうでしたね。ボリュームついても同様で、各施設さまから「ボリュームが足りない」という声が上がり、昨年10月に「超簡単おかず」にボリュームをプラスした「超簡単プラス」を新たに追加したところです。
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注文数が開発ロットに届かず、メニュー幅が縮小
立ち上げ時の苦労についてもお聞きしたいです。
YMさん:
立ち上げ時は、注文数が商品開発ロットに満たないことから、ご協力いただける取引先がほとんどなくて、苦労しました。注文が1箇所の施設しか取れなかったり、1〜2年経ったときでも11回分のメニューで100パック以下、なんてこともありましたね。
MNさん:
使える食材がかなり制限されてしまったので、最初は困惑しました。メニューがマンネリ化してしまい、お客様の要望に応えることが難しかったです。
YMさん:
業績拡大に伴い、今では大幅に改善されましたが、あのときは正直大変でしたね。最近は「ヨシケイキッチン」のために作ってくれていたり、「ヨシケイキッチン」とだけ取り引きしてくれているメーカーも徐々に増えてきました。
商品数が増えたことで、物流会社がキャパオーバーになるという事態も発生し、移管した物流会社ではコストが大幅に増大し、物流クオリティが低下してしまいました。現在は一社にすべてお任せしているので、こうした課題は解決されています。 -
売上・伸長額・新規獲得ー右肩上がりの成長を実現
プロジェクトが始まって10年が経ちます。成果や反響についても教えてください。
YMさん:
可視化できる成果としては、ご利用施設数が6,000施設を突破しました。47期のグループ売上が56億見込に対して、キッチン事業部は26.5億見込となっており、47期においては過去最高売上、過去最高新規獲得を達成できる見込みです。
反響も徐々に増えています。昨年からホームページ上に電話番号を掲載したことも要因かと思いますが、直接こちらへご連絡いただくことが多くなりました。施設やFCと話をする中で、法改正や介護の現場についてもっと詳しくならなければと痛感しています。
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ヨシケイキッチンを求める新たな需要の創出
今後の展望や新たに挑戦したいことはありますか?
MNさん:
一部の施設さまにご協力いただいて、数ヶ月に1回のペースで意見交換会を実施して、メニューに対するご意見を直接聞いていますので、今後のメニューづくりに反映させていきます。
また、介護施設向けの禁食にも力を入れていきたいです。オプション商品としてサービスを開始していますが、まだまだ数が足りないので、今後商品を拡充して、施設さまの選択肢が増えるようにしていきたいです。YMさん:
ここまで順調に業績を伸ばしていると自負はしていますが、施設数は全国で5万件を超えていますので、利用拡大の余地はまだあると思っています。
賛同していただけるFCの拡大、そして、営業から納品、請求までトータルで考えた顧客体験の向上を、デジタルとアナログの両面から推進していきたいと考えています。
さらには、今のところ高齢者施設や障がい者施設をメインに販売していますが、今後はそれ以外の需要も探っていきたい。その一つとして、在宅介護を受けている高齢者向けに、冷凍弁当の商品を販売することを考えています。